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パソコンの完全消去の方法をわかりやすく解説!初心者におすすめの方法は?

情報セキュリティ意識の向上に伴い、「データ消去」は大きな課題となりました。情報漏えいを防ぐため、古くなったパソコンを廃棄・リサイクル・譲渡する際には、個人情報を消去する必要があります。「ゴミ箱」に捨てて削除するだけではデータは完全には消去されません。今回は、パソコンのデータを完全消去する方法についてご紹介します。

パソコンのデータ消去方法は4種類あります

① ソフトによる消去
② 専用機械による消去
③ 物理破壊
④ 磁気消去

①ソフトによる消去

消去ソフトは、処分対象PCがまだ作動する場合に使うことのできる方法です。
ソフトによる消去は、HDDの全ての記憶領域に対して0や1のデータを上書きして、元のデータを無意味なデータによって置き換えるという方法です。ソフトには無料のものも有料のものもあり、それぞれ、上書きの回数、消去できる範囲が異なります。しかし、フリーソフトを使用する場合、データが消去しきれない可能性が高いです。そのため、ソフトを使用する前に、ソフトの評判・比較を調べてから選ぶとよいでしょう。

② 専用機械による消去

HDDデュプリケーターという機械はクローン・消去専門の機械のことを指し、クローン機能付きのHDDスタンドと混同されがちです。 HDDデュプリケーターは、データの完全消去に特化しているため、PCとの接続や複雑な設定は不要で、短時間で大量のHDDからデータを消去することが可能です。一般的に何種類かのクローン・消去機能を搭載し、個人にも企業にも対応可能です。ここで、6つの消去機能をご紹介します。

Ⅰ クイック消去
ルートディレクトリ領域を数秒ほどで消去します。処理速度は速いですが、データの復元は可能です。

Ⅱ 完全消去(フル消去)
HDD上全ての領域に「0x00」を1回上書きます。

Ⅲ DoD消去
米国国防総省 DoD 5220.22-Mに準拠した方法であり、HDDの全領域を3回・7回上書きします。まずは「0x00」を書き込み、次に「0xFF」、最後にはランダムのデータを書き込みます。

Ⅳ セキュア消去(SSD対応)
アメリカ国立標準技術研究所(NIST SP 800-88) に準拠した方法です。ATAに対応するSSDにセキュア消去を行うコマンドを送ることにより、ゼロクリアを実行します。

Ⅴ エンハンストセキュア消去(SSD対応)
セキュア消去だけでなく、不良セクタ、暗号化キーなどSSDメーカーの定める値によって、消去を実行します。

Ⅵ HPA・DCO消去
HPA、DCO設定を解除します。

また、HDDデュプリケーターもクローン機能付きのHDDスタンドも、価格によって、機能・差込口の数・互換性がそれぞれ異なります。HDDデュプリケーターを選ぶ際には、どのような用途で使いたいのかに応じて製品を選ぶことが大切でしょう。

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③ 物理破壊

物理破壊による消去とは、HDD自体を物理的に破壊し、記憶機能を使えないようにしてデータの読み取りや復元を不可能にする方法です。HDDの物理破壊機械を使用することが一般的ですが、自分で工具を使って壊すことも可能です。
自分でHDD盤面をカナヅチで叩いたり、ドリルで穴をいくつか開けたりして破壊すれば、費用はかからないという利点がある一方で、有害物質飛散の恐れがあります。また、中途半端に破壊されたHDDからデータを復活させることが可能な場合もあります。
物理破壊機械は、短時間で大量のHDDを貫通破壊できます。安全装置が取り付けられているため、有害物質の飛散・揮散の防止が可能です。しかし、これは高価な機械ですので、自分で購入するよりも、物理破壊機械を使用している消去業者に依頼したほうが現実的でしょう。

④ 磁気消去装置

磁気消去装置とは、水平・垂直記録方式のHDDを、強磁界を用いて磁気の向きをすべて同じ方向に瞬時に整えてデータを消去する装置です。磁気消去した後は、パゾコンに認識されなくなるため、HDDの再利用は不可能となります。磁気消去は簡単で高速な消去方式ですが、専用機械は物理破壊機械と同じく、一台につき数十万円と高価です。そのため、本装置に対応した消去業者に依頼することがお勧めです。

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まとめ

①ソフトによる消去のメリットは、無料で使用でき、HDDの再利用は可能ということです。デメリットは、データを復元できる可能性があることです。
②専用機械による消去のメリットは、機械はお手頃価格で購入しやすく、HDDの再利用も可能ということです。専門機器には消去機能が多く搭載されているため、利用シーンに合わせて選択することができます。デメリットは、機能の性能が高いほど・機能が多いほど、機械の価格が上がるという点です。
③④の方法は、HDDの再利用は不可能となるため、パソコンを廃棄したい方にお勧めです。デメリットは、専用機器は個人所有するには高価であるため、消去業者に依頼する必要があるという点です。